日本がW杯で優勝してもFIFAランキングで1位にはなれない証拠

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FIFAランキングとは、言わずと知れたFIFA(国際サッカー連盟)が決めた世界各国のサッカーの強さを表すランキングのことです。そしてFIFAランキングの決定には明確な計算方法があります。これに従って各国のランキングは決定しています。

しかしそれにしても、南米とヨーロッパのチームがいつもランキングの上位を占めて、アジアのチームが下位に甘んじていることはみなさんも何となく感じていることでしょう。それをどのような理由で当たり前だと思っているでしょうか?

世界のサッカーを大雑把に見ると、確かに南米・ヨーロッパのレベルは高いと言えるかもしれません。しかし、それにしてもこのランキングには何かからくりがあるような納得がいかないような感じがしないでしょうか。今回は、そんなFIFAランキングの計算方式の謎と、我が国「日本」がランキング1位になる可能性について検討してみたいと思います。

FIFAランキングの計算式

FIFAランキングはそれほど複雑ではないいくつかのパラメータを使った計算によって決定しています。その計算式の基本は、各国のA代表が行った各試合における獲得ポイントPの計算であり、1試合のポイント(P)=勝ち負け(M)×試合の重要度(I)×相手の強さ(T)×大陸連盟の強さ(C)となっています。

そして、次に1年間の毎試合の平均ポイントが算出されます。これが今年と過去3年分について行われます。その4年間分のデータに決められた重み付けをして各年の平均ポイントが算出され、これらの合計によって最終のランキングポイントが算出されるのです。各年の重み付けの割合は、直近の1年間の平均獲得ポイントP0が100%、1年前のP1は50%、2年前のP2は30%、同様に3年前のP3は20%となっています。最終のポイントを計算式で表すとこうなります。

総合ポイントP=(P0×100%)+(P1×50%)+(P2×30%)+(P3×20%)

これを各国で比較することでランキングが決定されます。さて基本がわかったところで、ここからいくつかのからくりを見ていきましょう。

FIFAランキング計算式のからくり

上記に書いたとおり、ポイントPはM(勝敗結果)×I(重要度)×T(相手の強さ)×C(大陸ポイント)で計算されるのですが、M(勝敗結果)とI(重要度)は大陸間ごとの差が出ないので、そこにからくりはありません。Mはただの勝ち負けですし、Iは大会の重要性のことですが、どの大陸にも大陸選手権や大きな大会への出場機会は平等に与えられて、それらのポイントも同じになっているからです。

大陸連盟の強さ

そこでからくりの大きな要素としてクローズアップされるのが残りのT(相手の強さ)とC(大陸ポイント)になります。

まず、Tは相手の強さを表しますが、これは簡単に言えば、強い相手とやったほうが高いポイントが獲得できる可能性があるということです。そして、Cは大陸連盟の強さを表していて、その係数は各大陸で下記のように決められています。というか、これらはFIFAの独断です。数値が高いほど強い大陸と認められています。

  • 南米大陸:1.00
  • ヨーロッパ大陸:0.99
  • 北中米/アジア大陸/アフリカ大陸/オセアニア大陸:0.85

日本はアジア大陸連盟に所属していますから、0.85です。南米・ヨーロッパに比べればアジア大陸はおよそ15%も低いレベルと認定されているのです。おそらくレベルの低い地域のほうが各国の優劣が著しく上位国が勝ちやすいので、獲得ポイントが有利になると判断されるためでしょう。南米はさておき、ヨーロッパにも弱小国はたくさんいるので、このことを冷静に考えた上で極端に言えば、南米やヨーロッパは他の地域に比べて最初からおよそ15%もの上乗せポイントをもらっていると言っても過言ではありません。

対戦相手国の強さ

次に対戦相手国の強さTについてです。ポイント計算には下記のような決まりがあり、ここにもちょっとしたからくりがあるのです。

  • 相手がランキング1位の場合は T=2.00
  • 2位~149位までは T=(200-相手ランキング)/100
  • 150位以下の場合は T=0.50

ざっくりポイントを説明すると、相手国ランキングが1位なら2点。50位なら1.5点。100位なら1点。150位なら0.5点ということです。

ランキング1位の国と対戦できるのはたいていランキング20位以上のW杯常連国です。また、ランキング上位国はなるべく多くのポイントを獲得するためにランキング上位国との試合を行いますので、日本のような下位の国にはなかなか対戦のチャンスは回ってきません。対戦のチャンスがあるとすれば、それは親善試合となりますが、親善試合の場合、今度は試合の重要度が極端に低くなりますので、下位国にとってもそれほどポイントには影響しなくなってしまします。つまり、親善試合以外の大会でランキング上位国と対戦できなければ高いポイントを獲得するチャンスがほとんどないということです。

これらのことから、南米やヨーロッパの国はただでさえランキング上位になりやすく、さらにその中の本当の強豪国は獲得ポイントが異常に高くなるというからくりになっています。

日本がランキング1位になれる可能性はあるのか?

まず上記の大陸ポイントからも明らかなように、アジア大陸連盟に属する日本は今後もずっとアジア大陸連盟に属します。基礎点の0.85は近未来においても劇的に変化することはないと推測されるので、今後もハンディキャップを背負っていくことになります。

ということは、日本が今よりもランキング上位に食い込んでいくためには、南米やヨーロッパのランキング上位チームとたくさん試合を行い、さらに勝ち続けることが必要になります。そうすることでどこまでランキングの上位に食い込んで行けるのか?果たして1位を獲得できる可能性があるのかを以下にシミュレートしていきます。2017年に日本A代表が予定している全ての国際試合に勝利したと想定した場合、2017年はいったい何ポイント獲得できるのでしょうか?以下はその際の想定一覧表です。(注意:勝敗の結果は実際の勝敗とは異なります)

上表には未確定の要素もありますが、毎年行われるキリンチャレンジカップが2017年に3試合あると考えて、対戦相手国の平均ランキングを40位ぐらいに設定してみました。このシミュレーションによると、我が日本代表が2017年に全勝した場合の平均獲得ポイントは541.2ptでした。

一方、下段の表はこれと同じような条件(表中の大会名は気にしないでください)でヨーロッパのチームが試合をこなした場合が下表になります。

平均獲得ポイントは、630.3ptになりました。結果を比較すると、ヨーロッパおよび南米大陸に存在するという理由だけで、平均ポイントが89.1ptも上がってしまうという現実があります。しかし、あえてこの結果を擁護するなら、ヨーロッパチームが1試合でも負ければ(538.5pt)、アジアチーム(541.2pt)に逆転されてしまう程度の差なのです(下表参照)。安心してはいられないのは事実かも知れません。

また、ワールドカップ本戦で獲得するポイントについても比較してみました。

条件はW杯の第1ステージで別グループにいた日本とヨーロッパのチームがともに第1ステージとトーナメントを全勝で勝ちあがってきて、決勝で戦った場合を想定しています。ワールドカップに出場している国の平均ランキングは簡単のために20位に設定しています。
下表上段は、アジアの代表である我が日本代表がW杯で全勝優勝した場合の獲得ポイント(表中赤字で表示している)で、下段はヨーロッパチームのそれです。

この条件で計算すると、日本がW杯で全勝優勝した場合の平均ポイントは1944.0pt、ヨーロッパのチームが全勝優勝した場合が2073.6ptとなります。同じ条件で優勝したにも関わらず、130ptもヨーロッパのほうがポイントは多くなるのです。これは不公平極まりない結果です。

よく考えてみてください。FIFAの考えでは、ヨーロッパよりもアジアのほうがレベルが低いという理由からアジアの大陸ポイントを低く設定しています。それは基本的に周りの相手が弱いという考えに基づいています。もしそう考えるなら、この考えはW杯や国際試合でも貫くべきだと思います。

ヨーロッパチームは弱小国ひしめくアジアのチームと試合をするのですから有利と考えられます。だから、ポイントの計算方法を理論的に考えるのであれば、ヨーロッパチームはアジア大陸で試合をしているのと同じなので大陸ポイントを0.85とし、逆に日本は強豪ひしめくヨーロッパ大陸で試合を行っているのと同じ状況なので大陸ポイントを0.99とすべきと考えられます。FIFAの考え方は理論破綻しているのです。

そして驚愕の事実に気が付きました!

下表は先ほどワールドカップ本戦を全勝で勝ち抜き優勝した場合のポイントを計算するために使用した表です。まさかと思い、僕はその禁じ手を打ってみました。

その禁じ手とは、「もし、決勝戦がPK戦になったら・・・」です。FIFAランキングの計算の決まりとして、M(勝敗)の係数は勝ち:3、負け:0、引き分け:1、PK勝ち:2、PK負け:1と決められています。恐る恐る日本にPK勝ちの2、ヨーロッパチームにPK負けの1を入力してみました・・・。

ぎゃー!!!

日本(優勝):1849.4pt < ヨーロッパ(準優勝):1884.3ptとなり、何と優勝したのにもかかわらず準優勝チームよりも獲得ポイントが低いではないですか!?このことに気付いている人はいますか?やっぱり絶対に是正するべきですよね?

まとめ

結論から言うと、FIFAが作った計算式のおかしいところは大陸ポイントなのです。これが不平等を生む原因なのです。大陸内で行われる試合は今のポイントのままで良いですし、それは理論的に何の問題もありません。確かに未だにヨーロッパや南米のサッカーはアジアに比べればレベルが高いと言えるので、大陸同士の試合はそれだけのポイントを得る権利はあるでしょう。しかし、大陸間の国際試合となると話は別です。

大陸間の試合における現在の大陸ポイントは次のように決められています。その試合の大陸pt=(自国の大陸pt+相手国の大陸pt)÷2です。

例)日本対ドイツの場合

P=(アジア0.85+ヨーロッパ0.99)÷2=0.92pt

日本はポイントアップ(得)でドイツはポイントダウン(損)なので、直接対決だけに焦点を当てると一見平等のような錯覚を起こします。しかし、W杯や大陸間の国際試合でこれを採用すると、途端にポイントが低い大陸のチームが不利になります。それは常に南米・ヨーロッパが他の地域の国に対して15%UPの有利なポイントを持っているからです。上表で日本対アフリカとヨーロッパ対アフリカの大陸ポイント差を見ていただけるとわかります。同じチームを相手にしているのに、獲得ポイントが大きく異なるのです。

これが是正されない限り、日本のランキング1位の道はありません。少なくともW杯やオリンピックなどの大きな大会は個別の大陸ポイントを持つべきです。もっとも、その前に日本が今よりも格段に強くなることが必須の条件ですが・・・。

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