スポーツのルールや判定は進化しているのだろうか?

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更新:2018年7月29日

当たり前ですが、スポーツにはルールがあります。審判はそのルールに従って判定を下していますが、そんなルールもたびたび変更されます。なぜ変更される必要があるのでしょうか?今回は、そんなスポーツのルールに関する変更について書いてみます。

ルール変更の理由

ルール変更の理由はいくつか考えられますが、そこにはマンネリ化の防止・有利不利の是正・危険防止・正当性の担保などが理由としてあげられるでしょう。正当性の担保の意味は少し分かりにくいと思いますが、これは道徳的または倫理的観点から現在の社会情勢を踏まえて正当と考えられる判定への修正を意味します。後で少し書きますが、例えば、野球の危険なスライディングなどを規制したり公正を期すためのビデオ判定を採用したりするなどの例が挙げられます。

ところで皆さんはスポーツのルールをどれほどまでに詳しく理解されているでしょうか?僕自身は野球やサッカーをやっていましたが、実のところ、それぞれの競技の全てのルールを把握しているわけではありません。実際の競技者はプロでもない限りそんな程度だと思います。ルールに基づく判定についても審判に任せていますから、ルールの要点を押さえるだけで、その他はあやふやなことが結構あるのです。皆さんもそうなのではないでしょうか。

すでに述べましたように、ルールの変更にはいくつかの理由があります。特に、オリンピックなどの国際大会では、ルールが勝敗を分ける問題点としてクローズアップされることがあります。フェアをうたうオリンピックのような大会は、出来る限り各選手の有利不利を是正しようと努めているのだと思います。しかし、実際に是正されているかどうかについては様々な意見があります。※2018年ロシアワールドカップで初めて採用されたVAR(ビデオアシスタントレフリー方式)は斬新でしたね。南米選手がよくやる「わざと転ぶ」は通用しなくなりました。

そんな中、いわゆる国技と言われるスポーツのルールは特に問題になります。日本で言えば、柔道や空手ですね。近年ではスポーツの国際化はどんどん進み、あらゆるスポーツは一国の枠を超えてどんどん世界に広がっています。サッカー・テニス・フェンシング・ラグビー・卓球・アメフト・相撲・バスケットボール・バレーボール・水泳・アイスホッケー・バドミントンなど、普段何気なく観戦したりプレーしたりしている競技のほとんどは実はどこかの国の発祥であり国技です。そんなことが忘れさられるほどスポーツの国際化は進んでいるのです。

「柔道」も今では「JUDO」になってしまいました。このような競技は国際化の浸透度合いに伴って、ルールがどんどん変わることになります。言うまでもなく柔道は日本の武道です。だから、かつて日本人が日本国内で行うためのルールというものが存在していたはずです。しかし、スポーツの国際化に伴い、様々なバックグラウンドを持つ世界の人々が競技を行うために、より共通のルールが必要になってきました。

スポーツの中の暗黙の了解

ちょっと違う観点から話をすると、国や地域にはそれぞれの文化・風土・風習等からなる「暗黙の了解」というものがあります。日本には日本の「暗黙の了解」があります。そして武道においても例外ではなく、一定の「暗黙の了解」の上に成り立っていますから、本来は日本における「暗黙の了解」を知らずして日本の武道を行うことは出来ないという前提があります。

「暗黙の了解」はその文化・風土・風習に馴染んでこそ習得できるものであり、他国の人が日本における「暗黙の了解」を短期間で会得することはほぼ不可能と考えたほうが良いのです。そこで、必要になるのが「暗黙の了解」を超えた万国共通のルールです。これを達成するには全ての「暗黙の了解」をルール化する必要があります。ところが、こんなルールを作ったとしたら煩雑になりすぎて誰も覚えることが出来ません。だからこそルールは常に試行錯誤なのです。これが頻繁なルール変更のひとつの原因であり、国際化や時代の変遷とともに、いつまでも付きまとうものなのです。

サッカーのオフサイドルールが頻繁に変更された歴史

日本において、競技人口が多く身近で主要スポーツと言えば、サッカーと野球です。そして、サッカーのルールについてよく取り上げられるのが「オフサイド」です。「オフサイド」のルールを良く知らない人も多いかと思いますが、よくわからない方は無理に分かろうとする必要はありません。その「オフサイド」のルールが頻繁に変わった混乱期がありました。サッカーにおいて、ルールの変更は戦術に大きく影響を与えるのです。

その昔、オフサイドの位置にいる選手は、味方がパスを出した瞬間に無条件で(プレーに関与していなくても)オフサイドの判定を下されている時期がありました。だから、攻撃的な相手に対しては相手を「オフサイド」にどんどんかけるというディフェンス側の戦術がありました。※2018年ロシアワールドカップの日本vsセネガルの前半44分に日本が魅せた完璧なオフサイドトラップはその時代の戦術の名残です。

それがルールの変更に伴い(例えば、オフサイドの位置にいてもボールに関与しなければオフサイドではないというルールに改正されたことにより)、ディフェンス選手は戸惑い、そして以前の戦術が通用しなくなりました。そんな経緯があり、選手たちは新たなルールに適応すべく新たな戦術を練ることになったのです。

このように、ある意味、ルールの変更は競技のマンネリ化を防ぎ、プレーヤーにも観客にも新たな刺激を与える良い効果もあると言えます。(ルールを知らない観戦者にとっては何ら影響を与えませんが・・・。)

ちなみに、昔のサッカーのルールでは、味方から味方キーパーへのバックパスが認められていました。どういうことかと言うと、信じられないことに味方のスローインを直接キーパーが手でキャッチしてもよかったし、味方のディフェンスによる足でのバックパスも当然のようにキーパーは手でキャッチできていました。そんなことが出来る時代だったから、ディフェンスの選手は相手がプレッシャーを掛けてきて、ヤバイと思ったらすぐに安全なキーパーにバックパスをしてボールを返すことが出来たのです。だから、昔のディフェンダーは楽だったのです。

今となっては懐かしい思い出ですが、ブンデスリーガ―でもプレミアリーグでも多くの試合でそのようなプレーが普通に行われていました。試合終了5分前ぐらいになると、勝っているチームは自陣のディフェンスラインで悠々とボールを回し、相手フォワードが寄せて来たらキーパーにボールを返し、キーパーは敵が寄せて来なければ再度ディフェンスにボールを預けボールを回して時間を稼ぎ、そしてまた寄せてくるとキーパーに返すという繰り返しのプレーを試合終了のホイッスルが鳴るまで平然と行っていたのです。負けているチームは後半40分になるとみんな絶望していたし、見ている人も全然面白くなかったのです。今から考えればルールが変更になって当然のような気もします。※2018年ロシアワールドカップの日本vsポーランドの後半37分から始めた10分間の自陣でのボール回しは通常勝っているチームがやるものですが、あれにキーパーを加えたボール回しが行われていたのです。見ているお客さんにとっては不快そのものということが今回のプレーを通じて皆さんが感じたことでしょう。

野球のルールについて

野球はちょっと特別です。今でこそオリンピックやWBCなどを通じて世界に広まってきましたが、何十年もさかのぼれば、野球はアメリカ大陸と日本ぐらいでしか行われていませんでした。アメリカ大陸で行われていたものはベースボールであり、日本で行われているものは野球です。ちなみに台湾では野球のことを棒球と言います。

ベースボールと野球は、その質が「違う」と言われますが、おそらくルールも少し違うのでしょう。日本国内においてさえも地方ルールのような特別ルールがあるように、日本とアメリカほど離れていれば、ルールの差は大きくなることが容易に想像できます。

また、そもそも国によって野球そのものの基本的な考え方の違いがネーミングに現れていると思いませんか?ベースボールはボールを使ってベースを取り合うゲーム、野球は野原で行う球遊び、棒球は棒で球を打つ競技という風に。アメリカや台湾はネーミングに具体性と積極性を感じます。一方、日本の野球はすごく抽象的なネーミングです。当たり障りのない表現を好む国民性が滲み出ていますね。

話がとんでもない方へ行きそうので本題に戻すと、今回ここで僕が書きたいのは最近の野球ルールの変更です。

2015年から実施されたホームベース上でのコリジョンルールと2017年開幕から新たに実施された「併殺崩し」に関するルールのことです。いずれも選手の安全面に配慮したルール改正であり、コリジョンルールを適用することは妥当だと思います。※さらに2018年からは2段モーションの規制が緩和されることになりました。

野球を真剣にやっていた人から見ると、ルール改正後のプレーはちょっと物足りないものに見えてしまいますが、これも慣れの問題だと思います。小さい頃から激しいクロスプレーなどに慣れて育った世代の人たちが現在のプロ野球選手なのですから戸惑うのは当たり前です。

漫画やアニメでもスライディングでスネから血が噴き出したり(ドカベンの岩鬼)、ユニフォームやグローブが破れてしまったりするような描写が普通にありましたから・・・。今から野球を始める子供たちは、今のルールが常識となりますので、やがて違和感が無くなることでしょう。

野球ルールの疑問

しかし、ルールには穴がつきものです。みなさんもルールにはいろいろ疑問を持っていると思いますが、その中でも僕が理解していない野球のルールを具体的例として挙げてみます。次の例がホームランなのかどうなのかが僕にはわからないのです。

まず「外野フライが審判の頭に当たってノーバウンドでスタンドに入った」ら、審判に当たった時点で地面に落ちたと判断されるためエンタイトルツーベースになるそうです。ここまでは調べて分かりました。しかしそれを前提に、次の場合はどうなのでしょうか?

審判が飛んできた打球から逃げようとしてジャンプした瞬間に(足が地面に接地していない状態で)打球が審判の頭に当たってスタンドインしたら、ボールは地面に落ちることなくそのままスタンドインしたと判定されてホームランになると考えられないでしょうか?それとも審判の足が地面に接地していないにもかかわらず、それでもボールは地面に落ちたとみなされて、やっぱりエンタイトルツーベースなのでしょうか?

また同様に、ファールゾーンに飛んで行った打球がノーバウンドで鳥に当たって角度が変わってそのままスタンドインしたらホームランになるのでしょうか?

このように、野球をやっていた僕が知らない野球のルールはたくさんあります。僕的には答えを知るために、誰も怪我をしないという条件付きで、実際にそのようなプレーが起きてほしいと願っています。

まとめ

スポーツに限らずルールというものは、時代によって移り変わりゆくものだと思います。世の中がどんどん変わっていく中でルールだけが変わらないというのはおかしな話です。法律や制度なども実情を踏まえて変更されるのが当然と言えば当然ですね。ただ、その時に何を基準にして決めるのかが難しいのだと思います。万人が納得のいくルールなど存在しません。

変な話ですが、もし野球におけるホームランが、飛んだ距離分だけ点になるというルールになったとすれば、ルールですからそれに従わなければなりません。そうなると、パワーのある選手はより大きなホームランを観客に見せようと張り切ります。だからこんなルールがあったとすれば、中にはそれを楽しみにする観客もいるでしょうからルールとしてあり得るかもしれません。でも、実際にそうしないのは、そのルールが社会通念上似つかわしくないからです。

ともあれ、ルールというものは、例え自分が納得できなくても多くの人にとってはそれなりにうまく出来ているのではないかと思っています。そして、ルールは作る者がいれば破る者がいて、その繰り返しがルール自体を進化させていると言ってもよいかもしれません。

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