経営者と従業員の間に存在する企業のジレンマ(コストカットは終わりの始まり)

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更新:2017年9月18日

社会には多くのジレンマが潜んでいます。例を挙げればきりがないので、今回はこの中から、「経営者と従業員」をテーマに書いてみたいと思います。

みなさんの中には会社勤めの方も多くいらっしゃるだろうと思います。もしかすると、経営者の立場かも知れませんし、従業員かも知れません。いずれにしても、会社の成長と発展を願って、日々頑張っていることと思います。

経営者の立場

会社と経営者(取締役)は委任関係にあります。つまり、会社から経営を任されて経営するわけですから、会社とは対等の関係にあり、会社側から何かを命令されることは基本的にはありません。そして、経営者の主目的は、会社を存続させることと利益を生むことです。これが達成できない状況では、委任契約は終わりを迎えることになります。そのため経営者は、いつやってきてもおかしくない「契約の終了」というハイリスクの見返りとして高い報酬(ハイリターン)をもらい、会社の利益追求のための努力をするのです(すべきなのです)。

利益拡大方法

企業が利益を増やすためには、荒っぽく言って2つの方法があります。ひとつは、売り上げの拡大です。需要を増やして売り上げをアップさせることで、利益を積み上げて行くという方法です。そして、もうひとつは、コストカットによる利益幅拡大です。

モノやサービスの需要が、ある程度頭打ちになっているときは、利益を生む方法としては、コストカットが優先されます。

前者の売り上げ拡大についてですが、売上を拡大するための手法として、一般的に以下のような手法が取られます。

  • 人材投資と設備投資を行うことで市場開拓を図る。
  • 販売促進のために、営業費用を拡大する。いずれも未来への投資(コストアップ)ですね。

一方のコストカットは、支出の削減なので、上記とは逆の手法です。

  • 材料費のコストダウン
  • 給与カットやリストラ
  • 光熱費削減・その他諸経費の見直し

従業員的立場

さてその一方で、従業員は会社に対してどのような立場にあるかというと、先ほどの経営者の委任関係に対して言うなら、雇用関係となります。会社が使用者(雇用主)で、従業員は被用者(被雇用者)です。

従業員は給料をもらう代わりに、会社と交わした契約内容(みなさんも、お勤め先と雇用契約を結んでいると思います)を履行する義務があります。平たく言えば、義務または命令によって会社のために働くということです。

社会的ジレンマが発生する例

さて、ここで経営者と従業員の間で社会的ジレンマが発生するのは、コストアップとコストダウンのどちらの場合でしょうか?

答えは、コストダウンです。

会社の利益を考えて経営者がコストダウンを選択してしまうと、次のようなことが起こります。

会社全体の売上は変えない前提ですから、供給するモノやサービスの量は変わりません。しかし、ここでコストダウンを試みるということは、人材コストを減らすか、モノやサービスの質を落とすのいずれかが必要になります。もし、人材コストを減らすのであれば、給料を減らして従業員の生活を圧迫させるか、リストラをしてその人の人生を大きく狂わせるかという選択が目に浮かびます。

一方、モノやサービスの質を落とすなら、顧客満足度は下がるでしょう。この過密すぎるぐらいの情報ネットワーク時代においては、あっという間に企業の評判を落とすことにつながり、ひいては、売り上げ自体を減らす原因になりかねません。

会社の末路

経営者の立場からみると、最優先すべきは会社であり、従業員は会社を運営するための単なる駒(ほとんどの人が”歩”です)に過ぎません。

一方、従業員はどう考えているでしょうか?「いやいや、僕は”飛車”ぐらい頑張って営業やってますよ!」といった話のことではありません。

従業員は、経営者からコストダウンの至上命題を付きつけられた上に、給与カットや賞与カットにより、今まで以上に効率的な仕事をしなければなくなります。リストラなどにより従業員が減らされている場合はなおさらです。

それでも会社のため(汗)、自分の家族の生活のため(涙)と一生懸命やった結果、それを達成したとしても、会社の存続が維持されただけであり、従業員には何らの恩恵もありません。それどころか、モチベーションやモラール(意欲)の低下を招くことになるでしょう。その先には、想像に難しくない負のスパイラルが待っているのです。

従業員はその結果を受けて、会社に対して不信感を覚えます。今、「痛みに耐えれば、このあと必ずいいことがやってくる」とは思えないのです。なぜなら、従業員には期限があるからです。

未来ある若い従業員(歩)ならまだしも、定年間近の人(いぶし銀)にとっては、数年後の恩恵は受けられないのです。心理的には、やっても給料が増えないならやり損だと、フリーライダーになろうとする人が出てきます。会社(経営者)は効率の上がらない作業に対して、さらにコストカットを要求します。

優秀な人材(角・飛車)は外に逃げ出し、普通の人たち(歩)が残ります。ますます業務の効率が落ち、会社として立ち行かなくなっていきます。

利益追求のためにコストカットを選択した結果は、経営者にとっても従業員にとっても思わしくない結果となってしまいました。怖い話ですね(笑)

まとめ

個人的には、コストカットに固執する経営者は必ず失敗すると思っています。逆に、コストカットに固執して成功した経営者を教えてほしいぐらいです。いってみれば、「優良なブラック企業」ですね。どないやねん!あっ、あるかも?

 

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