高齢者ドライバーの運転事故は増加しているのか検証してみた

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更新:2018年3月25日

最近、頻繁に高齢者の自動車事故のニュースを耳にするようになりました。僕自身も、街中や自転車走行中に、ときおりヒヤッとする場面に出くわすことがあります。つい先日、子供の遊び場である公園の前で、信号がある横断歩道を子供と一緒に渡ろうとした時の話です。左側の30m~40m先から、白い車がこちらに向かってきたのを確認していました。その車の時速は30km/hぐらいだったと思います。車側の信号は(赤になってから3,4秒たっている)、当然止まるものと思って僕たち親子が横断歩道を渡っていると、その車は一向に速度を落とそうとしないのです。

やばい!ドライバーの異常か!?

最近よくある危険ドラッグやてんかんの持病を持つ人か心臓発作かと思い、子供を守りつつドライバーの表情を確認してみました。すると、75,6歳のおじいさんでした。目はこっちを見ていて存在には気が付いているようです。しかし、それにしても行動が変です。

赤信号なのに停止線を越えて横断歩道の白線に掛かるぐらいまで結構な速度で突っ込んできて、そこでようやく停止しました。僕たちがいなければ、通り抜けようとさえする勢いです。

もう一度おじいさんの顔を見ると、「どうぞ先に行きなさい、ほら早く!」と手で合図しているではありませんか。!?

そうです。そのおじいさんは、いっさい目の前の信号に気が付いておらず、信号のない横断歩道に僕たち親子が飛び出してきたと思っていたのです。

「先に行きなさいじゃねーだろー!」と心の中で思いつつ、この状況をおじいさんに気付かせようと、おじいさんの顔と赤信号を5度見してやりました。「あ・れ・を・み・ろ!」おじいさんは、ぽかーんとしていました。はぁ!?

一歩間違えば、一生悔やんでも悔やみきれない大事故です。エピソードはこれに終わりませんが、本当に高齢者の運転は危ないと感じています。

そんな経験からも、高齢者による自動車事故は、最近になって増え始めたのだろうか?それとも、単にニュース側が過熱しているだけで、増えたわけではないのだろうか?との疑問が湧いてきました。そこで、色々な視点から、このことを検証してみようと考えました。

日本の人口ピラミッドと事故数の関係

総務省統計局の統計データ/我が国の人口ピラミッドを参考にしてみました。このデータは、平成25年10月1日のものなので、少し前のものになります。だから、この図をその差分を上にスライドさせると、だいたい現状を示すことになります。

さて、最近ニュースで聞く高齢者ドライバーの事故ですが、何歳ぐらいの方が事故を起こされているのでしょうか?僕が見る限り、ニュースに出てくるのはだいたい70代後半~80代半ばです。この世代は、人口がまだ増え続けている最中の年代の方々です。

一方で、警視庁交通総務課統計_高齢運転者が関与した交通事故発生状況(平成26年中)を確認してみました。

高齢者の定義は65歳以上となっていますが、この統計によると、年々交通事故の件数は減ってきているにも関わらず、高齢者の事故比率は高まってきています。(注意:警視庁の推移グラフは一見すると、高齢者の事故数が増えているような錯覚を起こしますが、実際に事故件数を計算してみると、8600件前後で推移しながら、近年は減ってきているようです。記事の下のほうにグラフを貼り付けました。)

これらのデータから判断すると、最近目立つ高齢者による事故は、人口比率と関係がありそうです。つまり、日本国内のドライバー全体に対する高齢者ドライバーの割合が高いことで高齢者の事故の割合が増えるということです。考えてみれば、当たり前のように思えます。

このことから予想するに、団塊の世代が70代後半になる7~10年後まで、右肩上がりに高齢者の事故比率が増えてゆき、その後、急激に減り始めるのではないでしょうか。そして、その10年後には再び人口が(団塊ジュニアの世代まで)増えていきますので、これに伴って再び高齢者の事故比率も増えていくものと推測できます。

事故の原因が、加齢による判断ミスや持病によるものであれば、これは世代に関係なく年齢とともに起こり得ることですので、この予想は当たることになると思います。但し、社会の状況が今とあまり変わっていないことが条件ですが。

自動車の安全性能と事故数の関係

自動車の安全性技術は、年々高まっているものと信じています。しかしながら、高齢者の事故があまり減っていないとなれば、その安全性技術は高齢者による事故を防止しきれていないということになります。

事故の原因としてニュースで一番よく聞くのが、アクセルとブレーキの踏み間違いです。この踏み間違いを、あらゆる状況において回避することが出来る技術やシステムが実現できれば、将来的に事故を大きく減らすことが出来るでしょう。(この下書きをしている2016.11.30に、もうすぐそんな商品がオートバックスセブンさんから発売されるという情報を得ました。「ペダルの見張り番」というものです。)(さらに2018年3月時点で、すでにアクセルの踏み間違いを防止するシステムが実用化されています。)

またもうひとつ、よく耳にする事故原因が、高速道路などでの逆走です。これは、アクセルとブレーキを踏み間違うという瞬間的な判断ミスとは違い、ルールが理解できていないか状況判断が出来ていないことの現れです。こうなると、もう絶対に車を運転してはいけません。

僕が提案するまでもなく、すでに高齢者の免許更新に関する規定の見直しをすでに行っておりますが、事故が増えているのだとしたら、これも十分とは言えないのではないかと思っています。車の事故は周りの人を巻き込む可能性があります。そこが問題なのです。とにかく、咄嗟(とっさ)の判断が恒常的に出来なくなった時点で、ドライバーとしてはジ・エンドです。

都会と田舎の事故率の違い

年代別人口比率や道路事情などを勘案した都会と田舎の事故率の比較を行おうと思っていたのですが、残念ながら、そのものズバリのデータはありません。そのため、ここからの記事内容は推測の域を超えませんので、そのつもりで読んでいただきたいと思います。内閣府/表1-1-8 都道府県別高齢化率の推移から高齢化率を確認してみました。

高齢化率とは、総人口に対する65歳以上の高齢者の割合だそうです。東京・大阪・愛知・福岡などのいわゆる都会と言われる地域は、やはり(働く世代が多いと思われるので)高齢化率が他府県に比べて低いことが見て取れます。

ただ、ここで気になったのは、滋賀県の高齢化比率の低さです。

この高齢化率の低さは、もしや県をあげて未来のために若者の労働サポートをしているその効果ではないかと推測しています。やるね!滋賀県!

さて、この資料からも、なんとなく都会と田舎の区別は出来るかと思います。そこで、都会の高齢者ドライバーによる事故データを調べてみました。いわゆる都会の大阪府警のデータ愛知県警のデータ福岡県警のデータからは、いずれも高齢者ドライバーの事故が増加していることが明らかになりました。

あれれ?

先ほど、警視庁交通総務課統計_高齢運転者が関与した交通事故発生状況(平成26年中)では、高齢者の運転事故は一見増えているように見えるけど、実は減っているということを書きました。データを利用してグラフを書き直すと下図のようになります。
elderly-driver

確かに減っていますね。

全国で総件数が減っている↓にも関わらず、都会の高齢者運転事故件数が増えている↑のだから、逆に考えれば、田舎の高齢者事故は、すごく減っている↓↓ということでしょうか?過疎化して、若者だけではなく高齢者の人口も減っているのでしょうか?結果として、事故率の違いは分からないけれども、とにかく都会の方が、事故が多いということは分かりました。

僕も高齢者ドライバーにより、何度か危ない目に合いましたが、みなさんも気を付けてください。小さいお子様がいらっしゃるご家庭では、特に飛び出しなどに気を付けていただきたいと願っています。ヒヤッとしたことがあるかと思います。

そしてもし、これを見ている高齢者の方がいらっしゃるなら、運転免許の自主返納も視野に入れて、自身だけでなく、他人の身の安全を考えて行動していただければと思います。

まとめ

これまでのデータ検証の過程で、高齢者ドライバーの事故は人口の比率に依存しているのではないかと予測を立てました。そして、実際の事故の件数は、高齢者ドライバーの人口そのものに依存しているように見えました。

都会では、高齢者の比率は低くても、高齢者の人口は増えています。そのため、高齢者の運転事故も増えていると考えられます。今後ますます都会の高齢者は増えてきますので、それに伴って事故が増えることが予想されます。

しかし、上のグラフで見られる近年の全国の高齢者ドライバーによる事故数の減少は、ともすると、高齢者の免許更新の規定変更による効果かも知れません。一件でも事故を減らすために、さらなる規定の改善と車の安全性能の強化を図っていただきたいものです。

追記

安全性強化の最終形であると思われる完全自動運転技術は、何だかわからないけど社会的ジレンマを生んでしまいそうなモヤモヤ感があります。しかし、完全自動運転が夢のある話であることは間違いないですね。

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