おっす!オラ、玉打強(たまうちこわし) その1

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現在高校2年生の「たじまゆうすけ」は小学校1年生から野球を始めたバリバリの野球少年だ。5年生になる頃、「ゆうすけ」の所属するチームではキャッチャー不足が深刻化しており、肩が強いという理由から「ゆうすけ」に白羽の矢が立った。それ以来ずっと彼はキャッチャーを務めている。キャッチャーとして6年のキャリアを持つ高校生の彼が今もなお強肩であることは言うに及ばず、頭を使うリード面でも大きく成長を遂げていて、県内でもちょっと有名な選手の一人だった。彼のそんな活躍もあって、チームは県大会の決勝まで駒を進めていた。

9回裏ツーアウト、8-2と相手を大きくリードして優勝は目前に迫っている。大量リードに守られ緊張することもなく、彼はいつも通りに配球を組み立てることが出来る精神状態であった。最後のバッター4番をツーストライクまで追い込んだ。2回裏に彼を先頭バッターとして迎えたときは、どん詰まりのヒットを許しているものの、全く変化球にタイミングが合っていないことを把握していた。だから追い込んだら決め球はフォークと決めていた。8回からマウンドに上がった抑えのピッチャーは、時折すっぽ抜けボールを投げてしまうこともあるが、今日の彼は制球力抜群で変化球のキレが良い。キャッチャーマスクの中で早くも「ゆうすけ」はマウンド上の歓喜の舞を想像してしまい口元の緩みが止まらなかった。副交感神経が優位になってリラックスができている証拠だ。何の心配もいらない。「ゆうすけ」はサインを出し、キャッチャーミットを「トンッ」と1回だけ叩きグローブを突き出して構えた。

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ピッチャーの指先から放たれたボールの軌道はバッターの目からは低めのストレートに見える。ストレートを待っていたであろうバッターはスイングを始めていた。「もらった!」ミットを下に構えて体全体で沈むボールを止めに行った。ミットには感触がなかった。周囲の声援が途切れ、代わりに耳鳴りがした。ボールを見失ったバッターは寸前でバットが止まり、ボールの行方を追った。後ろを振り返ると切腹をしたお侍さんのごとく前方にうなだれた「たまうちこわし」が出現していた。主審もネクストバッターもボールボーイもみんな、そこに降臨した「たまうちこわし」を焦点の定まらない目で見ていた。

ほどなくして、金縛りの解けた主審が「大丈夫か?」と腰を叩いた。状況を悟ったベンチの仲間が駆け寄り、一人が「たまうちこわし退散の儀式」を行った。もう一人は「飛べ、飛べ」と言って脇を抱えて強引に立たせようとしている。「たまうちこわし」は脂汗を流し、この世の終わりのような表情をしている。そして、地獄に突き落とされた悪霊のように自分ではどうすることもできずに苦悶の表情をしている。腰叩きのお祓いの儀式が終わると、「たまうちこわし」の霊が天に還(かえ)り、「たじまゆうすけ」は魂を取り戻した。

その後、2点を返されたものの試合には勝った。「ゆうすけ」が試合終了までフォークのサインを出さなかったのは言うまでもない。そして、家に帰ると、早速ネットで「ファールカップ」を検索した。生き地獄を味わった「ゆうすけ」は、もう二度と「たまうちこわし」にはならないと決意した。そんな決意が無意味であることを知らずに。

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